現在、私は大手日用品・トイレタリーメーカーの研究開発部門に勤務しています。入社して5年間は実験を担当し、それ以降は入社9年目の現在に至るまでMOT(技術経営)を担当する部署で研究方針や他社とのアライアンスに関する戦略立案等を担当しています。情報収集や考察を通じて戦略立案をし、それを研究所のトップや研究プロジェクトに対して提案するというのが主な業務です。学生時代に培った英語力も活かし、海外の学会や海外企業にも積極的にアプローチするようにしています。
実験をしているうちは学生時代に培った化学の知識・経験で対処できましたが、研究戦略を考えるようになると、研究だけでなく、それを取り巻く自社の状況や世の中の動向、他社の動き等を的確に捉えていくことが必要なのだろうなと感じるようになっていました。また、常日頃から“希少性のある人材”になる為にはスキルや能力の掛け算でオンリーワンを目指したいと考えており、「化学×英語×○○」の空白部分に入るものを探している時期でもありました。そんな折、海外でMBAを取得された大学時代の先輩に話を伺う機会があり、「自分の現状を踏まえると○○にぴったりなのはMBAだ」という気づきを得ました。
「これまで理系の研究者としてのキャリアを歩んできた自分が経営学を勉強する」と考えた時に真っ先に頭に浮かんだのが大前研一さんでした。原子力の研究者をされた後に経営コンサルタントになられた大前研一さんが、恐れ多くも自分に近いロールモデルであると感じたことがBBT大学院に決めた最大の理由です。もう一つの理由は働きながらどこでも学べるという点です。実務においても戦略立案を担当していましたので、働きながらMBAを学ぶことで、学習にも実務にも相乗効果があるだろうと考えました。また、地方在住であり子どもが1歳という時期でしたので、週末通学ではなく、自宅で学習できるという環境は非常に有難かったです。
コーポレートファイナンスやアカウンティングといった会社の数字を扱う科目が苦手でした。難しいから苦手というよりも、なんとなく従来から苦手意識や先入観があった為だと思います。実際には、学習を進めていく中で教授やTAからの助言や、何よりクラスメートとのディスカッションを通じて苦手意識は少しずつですが克服することが出来ました。
やはり大前研一学長の「RTOCS」が、最も苦労しただけあってタメになりました。ケーススタディを通じて毎週提案と反省を繰り返すことで、「もし私が△△社の○○社長だったら」といったように別の立場でも戦略を考える事が出来るようになりました。2年間これを繰り返すことで、この思考が習慣や癖のレベルにまで自分に定着したと感じています。
オンラインでの学習がここまでスムーズに出来るという事が正直驚きでした。動画での講義視聴、出席確認、レポートや試験、教務課の対応等が本当によく考えられていて、特にストレスを感じることなく学習に集中することが出来ました。また、オンラインでのクラスメートとの議論も、入学当初に想像していた以上に充実したものでした。PCやスマートフォンを使うことで、早朝や夜間はもちろん、海外出張中でも議論に参加できましたし、Face to Faceの議論以上に中身が濃いディスカッションが出来たと思っています。
通勤時間や、早めに出社した朝の時間、昼休みの後半、家族の就寝後といった細切れ時間を有効に活用出来た事が大きかったと思います。実際のMBA過程に入学する前に2年半ほど単科生としてBBT大学院で学んでいた事もあり、徐々に自分のペースを作りながらバランスを考えることが出来ました。また、子どもがまだ小さいので、土曜日は私が面倒をみることで妻には外でリフレッシュしてもらい、日曜日は私がネットカフェ等で勉強時間をもらうといった事も2年間続けてきました。大学院に通うことを理解し、常に協力してくれた妻には本当に感謝しています。
一番苦労するだろうと思っていた点は、事前に対処することを考えていました。それは、「仕事や家族とのバランスを取りながら、これだけ多くの科目を2年間でこなす事が出来るのか」という点です。私の場合、単科生の制度を利用し、MBA課程に入学する前に2年半かけて単位をとりながら、仕事や家族とのバランスを考える期間をつくっていた為、実際に入学する際には自分の学習スタイルが出来上がっていました。単科生の制度を上手く利用するというのは、ぜひお勧めしたい方法です。
大学院で学んだ知識よりも、その過程で訓練した「考え方」が実践で活用出来ていると感じています。ロジカルに考えることはもちろん、RTOCSを通じて訓練した「もし私が△△社の○○社長だったら」という考え方も、日常業務で自信の仕事を俯瞰的に捉え、アウトプットの価値を高める上で大いに活用出来ています。
一言で表すならば、大学院での学びを通じて「自分の頭で考える」という事が習慣・癖になりました。例えば、仕事をする上で「前例に倣う」とか、新聞記事を読んで「文章のまま理解する」といった事が、今思うと入学前は当たり前のようになってしまっていました。しかし、今では本質的にどういう事なのか自分の頭で考え、分からない部分は自ら調べるという行動を無意識にとれるようになりました。この習慣は仕事上で役立つのはもちろん、今後の人生においてずっと自らの武器になるものだと思います。
BBT大学院の卒業研究では、自社への新事業提案をテーマとし、大前研一学長を始め、多くの先生方やクラスメートからアドバイスを頂きました。まずはこの新事業の実現に向けて前進したいと考えています。実験をする研究者だった私は、現在は研究戦略を立案・提案する業務を担当するようになり、BBT大学院でも「戦略立案」という軸を意識して学んできました。今後も「戦略立案」という軸を自らの強みとして更に磨きをかけながら、研究戦略だけでなく、事業戦略や全社戦略を立案・提案する業務で経験を積むことが中長期的な目標です。多くの方々にご家庭で使ってもらえる商品を通じて自社が社会に貢献していく上で、自身の「戦略立案」が役に立てればと思っています。
海外に留学してMBAをとるのに比べると安いとは言え、自身もそうでしたが、入学を検討する際に「学費」は気になるところだと思います。しかし、修了した現在では「自分は間違いなく元を取ったし、得られたものと比べるとこの学費は安い」と感じています。また、通学制の大学院と比べて通信制は劣るのではないかと心配される方もいるかもしれません。この点に関して、私は「従来の通信制とは異なり、BBTでの学びはむしろ新しい学びの形であり、今後世の中に広がっていくであろう学び方を先取りしているのだ」と感じるようになりました。「働きながらどこでも学べる」というのは、とても大変な努力を必要としますが、その分非常に効率が良く、実務との相乗効果もあり、グローバル化が進む中で今後重要性が増す学び方だと思います。ぜひ最初の一歩を踏み出してみることをお勧めしたいと思います。